10/17 天才と天才

とても寒い日だったのにいつも通り半袖のワンピースで出かけてしまった。
レアルマドリッドのホームスタジアム、サンチャゴ・ベルナベウ。
レアルを好きだと思ったこともないけれど、何と言ってもジダンのいた
(そして今もスポーツディレクターという立場で関わっている)
クラブなので、カンプ・ノウよりも親近感がある。
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入場料はカンプ・ノウよりも安い16ユーロ。
寒さのせいか、ホットパンツのピチピチギャルズもいない。
派手な演出はなく、淡々とスタジアムを巡り、時々写真を撮る。
グリーンキーパーが芝の手入れをしていたり
清掃係が観客席のゴミを集めたりしていた。
当然のことながら凄い量!
そりゃあ8万人も収容するんだからゴミの量もすごいか。
私の地元の町なんて4つ分くらいはいっちゃうんだもんね。
ピッチわきに降りた時
多分アウェイチームの方だとは思うけれどベンチにも座ってみた。
にやける。
プレスルームの壇上にも座ってみた。
にやける。
・・・・気持ち悪い。私。

ベルナベルで良いなと思ったのは、メトロの出口からすぐにスタジアムがある所。
カンプ・ノウはどの駅からも少し歩かなくてはいけなかった。

昼間は街をぶらぶらし、夜、ソフィア王妃芸術センターに出かける。
19時からは入場料が無料なのだ。
タダで『ゲルニカ』を観ようってハラです。

今日は疲れたのでゲルニカだけ観れればいいやと思っていたけれど
意外と見応えがある美術館で、あまり好きではないダリなんかも
思いのほか面白く、マンレイやコルビュジェ、ミロの作品も多くて
なんやかんやで長居してしまった。
そして圧巻なのはやはり、ゲルニカ。
スペイン内戦のゲルニカ空爆をモチーフに描かれたこの絵は
世界でも最も有名な一枚ではないだろうか。
モノクロームのペンキで描かれたこの絵画には厚みというものがあまりなく
遠くから観ると「プリント?」と思ってしまう。
それほどに私達はこの絵を見慣れている。
それはある意味、どこにいても見たい物の情報を得られる現代の弊害かもしれない。
教科書に載っている、テレビで見る事ができる、ネット検索出来る、
またはこんな感じでブログに書いてある。
しかしどんなに細かく再現されても、画家が一筆に入魂したものを感じ取れるのは
実際に作品を目にした時だけではないだろうか。
とりわけ色というものは環境によって再現が非常に難しく
私が今一番観たいと思っている、アムステルダムにあるゴッホの麦畑の絵だって
プリントの色に依って印象や意味が全然違ってくる。
私はそれを確かめに行きたい。

周囲には各部位の習作が多く展示され、スペイン内戦に関するビデオ上映が行われていた。
子供の頃に読んだ『世界の偉人』シリーズの本で
このゲルニカを見た子供が恐がって泣いた、という話がピカソの伝記にあったのを覚えている。
メッセージ性の強い絵であることに間違いはないのだけれど
恐がって泣くような見方は私にはできなかった。
それよりも、ただ、まず傑作だと思ってしまった。

子供のような絵を描くことを目指してこの天才はおびただしい数の作品を残した。
子供のような絵を描く程、難しいことはない。
私はそんな絵を描こうと精進する画家なんかではなくて一鑑賞者にすぎないけれど
子供のような目で物事を見られたら良いなと思うことはある。
この絵もそういう風に観れたらな、と思ったけれど
きっと頭が先に反応して「ゲルニカ」「傑作」という圧倒的な潜在意識に負けていて
そして細部を観れば観る程「こんな風に描けるのか」という驚きに打ちのめされる。
ピカソがゲルニカに込めた想いよりも先に、ゲルニカの芸術性に感嘆してしまう。
心を打たれる事には変わりはないけれど
それでいいのだろうか?

この美術館でもゲルニカに辿り着くまでに色々な作品を観て来て
近くにあったコルビュジェの絵とピカソの絵が並んでいるところでも思った事は
ピカソの天才性は群を抜いている。
画家としては凡庸と言われたコルビュジェの隣だからかもしれないけれど
上手、下手の解りやすい絵ではないこういう絵でも、これほどにはっきりと解る。
自分の絵をもっと評価してくれるよう願っていたコルビュジェが、
今、自分の絵がピカソの隣に並んでいるのを見たらどう思うだろう。
きっと、「やめてくれ」って言うんじゃないかな。
そんなことないかな。


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by oyabing2002 | 2011-11-06 19:23 | イベリア・モロッコ紀行
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